百街道一歩の甲州道中1(日本橋〜新宿)

平成14年6月2日(日)

(平成14年12月25日アップ)

(平成15年4月20日更新=新宿御苑桜を見る会

・日本橋から甲州道中の旅に出る。当面の目標は都内五街道踏破だが、この甲州道中が都内では一番距離があり時間がかかりそうだ。

・甲州道中と八重洲の外堀通りとの交差点呉服橋を右に行った所「一石橋」のたもとに「一石橋迷子しらせ石標」がある。昔の庶民のいわば伝言板だが、初めて見た。

  

                 一石橋迷子しらせ石標          常盤橋門跡

 

・その先に常磐橋門跡がある。江戸時代、奥州道中に通じる門として重視された。門内には北町奉行所が置かれていたこともある。ここには、渋沢栄一の大きな銅像もあった。今はホームレスがたむろしていた。

・甲州道中と外堀通り(JR東京駅八重洲口の前を通る道)との交差点は、「呉服橋」という名前がついている。北にある常盤橋が公用の橋であるのに対し呉服橋は「町のもの通い橋」とあり、町人用と推定される。外堀の埋立てに伴い昭和26年に消滅した。

・八重洲口の国際観光会館(今は取り壊しのため工事用の目隠しがされている。)前に「北町奉行所跡」の碑があった。北と南の奉行所は月ごとに交代していた。当初奉行所は北を常盤橋門、南を呉服橋門に置いたが、文化3年(1806年)以降は、北は呉服橋門、南は数寄屋橋門になり幕末を迎えた。入れ墨奉行でお馴染みの遠山の金さんこと遠山左衛門尉景元(遠山金四郎)は、1840年から3年間北町奉行を勤めた。それにしても、こんな人通りの多いところにあったとは!

北町奉行所跡(右手が碑)

・東京駅丸の内の前辺り「評定所」と「伝奏屋敷」がある。「評定所」は、江戸幕府の最高裁判所。伊達騒動や桜田門外の変も扱った。探し回ったがそれらしき跡はなかった。東京都が設置している歴史の散歩道の案内板には、この場所の後側、和田倉門橋の前になっている。司馬遼太郎の「世に棲む日々」にも、安政の大獄の裁きで和田倉門の前に評定所が置かれたとある。

・大手町の東京消防庁の横に平将門首塚がある。酒井雅楽頭の屋敷跡でもある。案内板によると、天慶の乱で憤死した平将門の首級は京都に送られ獄門にかけられたが、3日後東方に飛び散り、武蔵の国豊島郡柴崎に落ちた。その時雷鳴がとどろき、真っ暗になった。村人は恐怖し、埋葬したのがこの地だったとのこと。

将門塚

・日比谷公園は、長州藩、佐賀藩の江戸屋敷があった所。

・憲政記念館の中に日本水準原点の碑がある。知らなかった。

・憲政記念館の下に井伊家の屋敷跡の碑があった。桜田門の変を思い出し、桜田門から近いということが実感できた。

桜田門

・半蔵門の名前は、家康を助けた伊賀忍者で組織した伊賀組の組頭服部半蔵の組屋敷跡から名付けられているそうだ。

・四谷駅にある四谷見附跡は、三十六見附といわれる江戸城の見張り所の一つ。案内板がある。これも知らなかった。

・それから暫く新宿方面に向かって歩くと須賀神社のお祭りの行列に出くわした。祭事研究家としては幸運だった。

・四谷四丁目から二股に分かれた道を右斜め前方に行くとすぐ左手に四谷大木戸跡と玉川上水記念碑がある。大木戸は、甲州街道の検問所で通行時間は午前6時から午後6時までだった。玉川上水が完成したのは1654年のこと。

四谷大木戸跡

・太宗寺には、閻魔堂があり閻魔像の横に奪衣婆(だつえば)像がある。奪衣婆は、閻魔大王に仕え、三途の川を渡る亡者から衣服を剥ぎ取り罪の軽重を計ったとされている。また、衣をはぐところから、内藤新宿の妓楼の商売神として信仰されたという。遊女、衣をはぐ・・・妙なことを連想してしまうが、なぜ信仰されたのか意味不明。

・内藤新宿は、それまでの甲州道中の宿が日本橋の次が下高井戸だったのが不便だというので元禄11年(1698)開設された。その後享保3年(1718)に廃止。明和9年(1772)に再開された。この宿の「飯盛女」は、幕府公認の吉原とは違い、非公式の遊女だったという。

・内藤清成は、家康が江戸城に入城した際、今の新宿2丁目辺りに陣を敷き、後北条氏の残党の動きを警備して家康を迎えた。その功により家康から「おまえの馬が一息で駆け巡るだけの範囲の土地をやろう」と言われ、手に入れたのがこの辺り一面の土地だった。

・新宿御苑は、後に信州高遠藩主となった内藤氏の江戸屋敷があった所だ。百街道一歩は、平成15年4月19日、新宿御苑で小泉首相招待の「桜を見る会」に出席した。ちょうど、八重桜が見頃で、代表的な一葉(白)、普賢象(淡いピンク・めしべが2本)、関山(ピンク)のほか、八重紅枝垂や緑の御衣黄、鬱金などが青空に映えて美しかった。

  

       小泉首相              一葉               八重紅枝垂      

・新宿三丁目伊勢丹の角は追分と呼ばれ交番の名前も「追分交番」、その道路を挟んで向かいの団子屋は「追分団子」だ。左に曲がるのが甲州街道、まっすぐ行くのが青梅街道、その追分だった場所である。

新宿追分交番

・本日は、昼から予定があるので、短いが新宿駅南口までとした。本日の行程は普段よく通っている道だが、知らないことが多く、また、見聞を広めることが出来た。それにしても暑かった。


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